直線上に配置
ガンを防ぐ食べ物

ニンニク
ニンニクに傷をつけたり加熱したり、物理的な力が加わると、アリシンという物質が作り出されます。ニンニクが自分を守るために作る防御物質なのですが、これに、発がんのプロモーション段階を抑制する作用があることが実験で証明されました。また、ニンニクには土壌に含まれるセレンというミネラルをため込むという特性があります。このセレンもがん予防物質として注目されています。一日にひとかけらはとりたいものです。
ラッキョウ
ラッキョウに含まれるサポニンという特殊な成分とイソリクエチゲニンという成分が、肺がん及び皮膚がんの発生を押さえる働きがあることが実験によって証明されています。また最近、イソリクエチゲニンが腸内環境を整えて大腸がんの発生を抑制するということがわかりました。1日に3個程度食べればこうした効果は十分期待できますが、殺菌作用が強いため、食べ過ぎると胃に悪いのでくれぐれも注意してください。
ニンジン
ニンジンには、β-カロチンが100g中7300単位、及びビタミンA・C・E も 4100IU、6mg、0.4mg とたっぷり含まれています。これらは抗酸化作用に優れている「体の毒消し物質」です。またニンジンには、ヘミセルロースとペクチンという食物繊維が豊富です。食物繊維は、脂肪や糖分をゆっくりと吸収させて、インスリンの急上昇を押さえます。100種100兆個以上もある腸内細菌のエサとなって、腸の悪玉菌を追い出してくれます。胆汁酸の再循環を促して余分なコレステロールを排出し、動脈硬化を予防する働き、スポンジのように保水して便のカサを増やして、便秘や大腸がんを防ぐ働きも絶大です。
ゴボウ
ゴボウには、食物繊維が100g中に8.5g も含まれます。特にリグニン、セルロース、ヘミセルロースといった非水溶性の食物繊維の働きが注目されます。水に溶けない食物繊維は腸の健康に欠かせないものです。便の量をふやすとともに腸を刺激して、蠕動運動を活発にし、排便をスムースに促進してくれるからです。中でもリグニンは、切り口の数が多ければ多いほど、どんどん増えてくる不思議な食物繊維です。これは 「傷害リグニン」というもので傷ついたゴボウは、自分の身を修復するために、リグニンをたくさん作り出そうとする性質があるのです。リグニンの働きをより高めるためには、「メチオニン」とともにとるのがコツです。メチオニンは必須アミノ酸の一種で、肉・魚・卵・豆腐などに多く含まれます。ゴボウとメチオニン
の多い食品という組み合わせが、リグニンを最も効率よくとれる食べ方ということになります。
サツマイモ
ヒトの子宮頚がん細胞であるHela細胞と、マウス皮膚がんの一種 B-16 細胞を培養し、一方にはサツマイモの絞り汁を加え、もう片方には蒸留水を加えがん細胞が増殖するかどうかを観察しました。その結果、サツマイモの絞り汁を加えた場合、加えなかった場合に比べてがん細胞の増殖が5分の1以下に抑えられたのです。がんが進行すると、がん細胞は分裂を繰り返し細胞が小さくなることがわかっていますが、サツマイモの絞り汁を加えたものは、細胞そのものが大きくなり、正常な細胞の形に戻ってしまいました。サツマイモの絞り汁のどの成分ががん細胞の増殖を防いでいるのか分析したところガングリオシドという物質がその働きをしていることがわかりました。人間がサツマイモを食べて、ガングリオシドを摂取しようとするなら、体重60Kgで約2.5Kg のサツマイモが必要です。ただ予防の目的なら200g 程度で十分です。また、サツマイモには食物繊維も多く含まれていますので大腸がんの予防にもなります。
トマト
トマトに含まれているリコピンという赤い色素成分は、β-カロチンの約2倍というとても強い抗酸化作用を持つことがわかりました。タバコの煙に含まれる二酸化窒素ラジカルは、発がん性の高い活性酸素ですが、これを動物の体内で発生させると、細胞膜は酸化し細胞は死んでいきます。ところがβ-カロチンを同時に与えると細胞死の割合は3分の1程度に、β-カロチンの代わりにリコピンをあたえると細胞死は8分の1にまで抑えられました。またイスラエルのベングリオン大学の研究報告では、リコピンは、β-カロチンの10分の1の濃度で、肺のがん細胞の増殖を抑えられるとあります。トマト料理を週に10回以上食べる人は、食べない人に比べて、約45%もがんになる危険性は減っていたという研究報告もあります。1日に生のトマトだったら大きいものを1個、トマトジュースなら1缶とるのががんの予防になります。
ホウレンソウ
ホウレンソウには、β-カロチン、ビタミン C・E が豊富に含まれています。人は皆がん遺伝子を持っていますが、そのままでは何もしません。発がん仕掛け物質「イニシエーター」がおとなしいがん遺伝子を活発に働くがん遺伝子を持った「異常細胞」に変えます。この時点でもまだがんの芽ぐらいのものですが、発がん促進物質(プロモーター)が異常細胞に働くと細胞内に毒性の強い活性酸素が発生し、遺伝子の異常を引き起こし異常細胞を本物のがん細胞に育て上げるのです。β-カロチンは抗酸化物質でがん発生のメカニズムの途中で発生する活性酸素を取り除きます。がん細胞の誕生を手前で阻止するのです。また、がん細胞ができて発育増大する場合でも、活性酸素を一掃しながらその分裂増殖を抑えこんでいきます。そのうえβ-カロチンには免疫細胞の生産を増やしその働きを強化する作用があります。効率よくβ-カロチンを摂取するなら油といっしょに取るのがベスト。軽くいためて味噌汁に入れたりシチューなどの汁物にすると含量の約60〜70%が吸収できます。ゆでた場合にはほとんどがゆで汁に流れ出てしまうので効率の点ではあまりよくありません。 
キャベツ
白血球はサイトカインと呼ばれている微量タンパク質を分泌します。このサイトカインが、がん予防に有効に働きます。サイトカインは1種類だけではなく、実に数多くあり、そのひとつに、TNF (腫瘍壊死因子)というのがあります。TNF が白血球から多く分泌されるほど、がん細胞を死滅させる働きも強くなるということがいえます。帝京大薬学部山崎正利教授の実験でいくつかの野菜の汁をマウスに飲ませ、TNF がどのくらい作られているかを調べました。その結果、蒸留水を飲ませたマウスにくらべ、キャベツ、ナス、ダイコンといった淡色野菜の汁を飲ませたマウスは、TNF の活性が約10倍にもなりました。それだけがん細胞を取り除く力が強いということです。しかもその活性は、ニンジンやピーマンなどの緑黄色野菜をも上回ることがわかりました。がん予防になる野菜として思いつくのは緑黄色野菜ですが、白血球の働きで考えると、淡色野菜もがんの予防に有効であることがわかりました。
マイタケ
マイタケは、ヒダナシタケ目サルノコシカケ科に属しますが、同じヒダナシタケ目のカワラタケから抽出されたβ-D-グルカンと呼ばれる多糖体(ブドウ糖がたくさん連なった高分子物質)は、がんの免疫療法剤として臨床に広く応用されています(クレスチンといいます)。霊芝等も、がん予防の主となる成分は水溶性のβ-D-グルカンであることがわかっています。水溶性β-D-グルカンはマイタケにもありますが、マイタケの場合にはβ-D-グルカンがたんぱく質と結合し、水に溶けない「水不溶性多糖体」という形で10〜30%も含まれているのが特徴なのです。サルコーマ180というがん細胞をマウスに移植しました。普通なら5〜6週間で死んでしまいます。がんを移植した直後からマイタケの水不溶性多糖体を1回に体重1Kgあたり10mg、又は100mg,1回だけ腹部に注射したマウスは、いずれもがんの増殖が抑制されました。注射だけではなくエサに混ぜて食べさせた場合にも、マイタケの水不溶性多糖体は同様の抗がん作用を示すことが明らかにされています。小腸にパイエル板という免疫器官があります。パイエル板は、免疫をつかさどるリンパ球やマクロファージなどの免疫細胞のたまり場で、侵入した異物を見つけると、これらの免疫細胞が食べてしまいます。マイタケの水不溶性多糖体は、パイエル板に待機している免疫細胞を刺激します。刺激された免疫細胞が、体内でがん細胞を異物として攻撃するものと考えられます。
シメジ
元金沢大学教授池川哲郎先生の実験で、72匹のマウスを同数の2群に分け、A群には普通のエサを、B群には粉末にしたシメジを5%混ぜたえさを与えて飼育、1週間後にすべてのマウスに強力な発がん剤を皮下注射して1年半にわたって経過を観察しました。結果は、A群では16週後に最初の1匹にがんができ、76週で計21匹に発がんがみられました。一方シメジを食べたB群でがんができたのは76週を通じてわずか3匹、発がん率は7分の1に抑えられたのです。正常細胞のがん化は、フリーラジカルと呼ばれる物質が遺伝子や膜を酸化することで引き起こされます。マウスにシメジを10%含むエサを26日間与えたあと、血液をとって調べたところ、フリーラジカルを補足する活性が高まっていることが確認されました。血液中でフリーラジカルを補足する活性成分は、血液中のある種の高分子のタンパク質であることも判明しています。シメジには、がん細胞の増殖を抑える作用もあることが判明してきました。がんを移植したマウスを、@普通のエサ、Aすりつぶしたシメジを混ぜたエサ、Bシメジをアミラーゼ(唾液などに含まれる消化酵素)で処理したものを混ぜたエサ、の3つに分け、18日後にがんの重さを比較しました。結果は@にくらべ、がんの増殖がAで48%、Bでは60%も阻止されたのです。このがん増殖抑制作用は、シメジに含まれる多糖体(糖が連なった物質)、又は糖タンパクが生体の免疫細胞を賦活することでもたらされたものと考えられます。
エノキタケ
長野県内のエノキタケ栽培家庭、全2000戸以上を対象にがん死亡率を調べたところ、県全体の死亡率よりも39%も低いことが判明した調査結果があります。さらにエノキタケを頻繁に食べる家庭ほどがんで死亡する危険度は減ります。エノキタケがこれほどのがん抑制効果を発揮する要因は、「 EA6 」という糖タンパクにあります。EA6は、糖70%、タンパク質30%から構成される物質です。この EA6をマウスに飲ませると、与えた量に比例してがんの増殖が防げるのです。マウスの体重1Kgに対して、10mg の EA 6を10日間投与するとがんの増殖は12%抑制されます。50mgでは39%、150mgでは59%も増殖を阻止しました。しかも注射をしても効果はほとんどなく、口から摂取して初めて、EA 6はその抗がん作用を発揮したのです。EA6ががん細胞を直接攻撃するのではなく、生体の免疫細胞を活性化させることで、がん細胞の増殖を防ぐことが確認されました。エノキタケには活性酸素の活動を抑える抗酸化作用もあります。ほとんどの食用きのこ類に抗酸化作用がありますが、エノキタケの作用が強力であることは実験でも確認済みです。
カリフラワー
食べ物に含まれる物質などでがんを抑えることを、がんの化学予防といいます。最近注目されている化学予防物質に、アブラナ科の野菜(カリフラワー、ブロッコリー、キャベツなど)に含まれるイオウ化合物があります。岐阜大学医学部教授の森秀樹先生の実験で、カリフラワーから抽出されたMMTS(メチルメサネサイオスルホネート)というイオウ化合物を、ラットに与えた実験があります。ラットの条件は、次の4群です。
A群=発癌剤+普通のエサ
B群=発癌剤+MMTSを20ppm濃度で混ぜたエサ
C群=発癌剤+MMTSを100ppm濃度で混ぜたエサ
D群=普通のエサのみ  
A〜C群の発癌剤は、大腸がんを引き起こすもので、週1回計3回、皮下注射しました。A群とD群には普通のエサを、B群とC群には発癌剤の投与終了後、MMTSを20ppm、100ppmの濃度で混ぜたエサを与え、9ヶ月後に、ラットの腸を調べてみました。結果、普通のエサを食べたA群では43%の発がん率でしたが、MMTSを20ppm混ぜたB群では発がん率は25%に、MMTSを100ppm混ぜたC群では、1匹もがんができず、発がんが完全に押さえられたのです。またMMTSは、がん細胞の増殖も抑えます。先の実験後にラットの大腸粘膜を調べたところ、発癌剤の刺激がないD群では、細胞全体に占める分裂しかけた細胞の比率は2.5%にすぎませんでしたが、発癌剤で刺激したA群では、13.6%と細胞の増殖が進んでいました。ところが、発癌剤投与後にMMTSを与えたB群とC群では、それぞれ4.5%、3.4%と細胞の増殖が著しく抑えられ、発癌剤の刺激がないD群程度におちついていました。また、MMTSは、大腸がんのみならず、肝臓癌の発生も抑えることが明らかになり、現在、肺がんなど他の臓器についても実験が進められています。
ブロッコリー
中国では「 芥藍 」といって、古くから漢方の素材として利用されてきました。日本にブロッコリーの人気が定着したのは、食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富で、特にビタミンCとビタミンA 、カルシウム、鉄に富んでいることが知られたからです。カロチンもビタミンCも、癌予防に有効な栄養素として、あまりにも有名ですが、しかし、ブロッコリーの発がん抑制効果の本領は、フラボノールの一種である「ケルセチン」の存在にあります。カロチン、ビタミンC、ケルセチンの3つの物質は、活性酸素の働きを抑えこんで発がんを抑制する3大癌予防成分なのです。またアメリカでは、ブロッコリーに含まれている「スルホラファン」に、発がん抑制効果があると認められています。スルホラファンは、ビタミンCとは違って熱に強く、電子レンジや加熱による調理をしても成分が破壊されません。鎌倉女子大教授成瀬宇平先生の実験によると、25匹のラットにDMBAという発癌物質を投与し、別の39匹には発癌物質とともにスルホラファンを与えました。その結果、発がん物質だけを与えられたグループでは68%に乳がんができたのに対して、スルホラファンを与えたグループでは乳がんの発症は26%にすぎませんでした。スルホラファンは、食べて数時間で作用するといわれています。また、ブロッコリーの中に存在しているある種の酵素がスルホラファンに作用して、さらに発がん抑制効果が高まっているのではないかという説もあります。がん予防食として有効利用したい野菜のひとつです。
アシタバ
新鮮なアシタバの茎を折ると黄色い汁が出てきますがこれこそが最も注目すべきがん予防物質のカルコンで、アシタバ固有の成分なのです。明治薬科大学教授奥山徹先生の実験によると、肺の発がんについてみたマウス実験で、発がん物質だけを与えたケースでは、12匹中平均4.9匹に91.7個の腫瘍が発生しましたが、発がん物質にアシタバの粉末を加えると、12匹中、腫瘍が発生したマウスは平均1.3匹に減少しました。腫瘍個数についても、66.7個に抑えられる結果となりました。肺がん以外に、皮膚と大腸の発がんについても実験しましたが、いずれも抑制するという結果がでています。細胞ががん化するにはイニシエーションとプロモーションという2つの段階を経るわけですが、アシタバに含まれるカルコンには、プロモーション段階に作用して、細胞のがん化を抑制する働きがあるのです。またアシタバには、クマリンという物質も含まれています。これもカルキン同様にがん予防に効果を示すということがわかってきています。その他にもβ-カロチンやビタミンCなども豊富です。 
セロリ セロリが食用として栽培されるようになったのはフランスが初めてで、17世紀のことです。肉の臭みを消すのに用いられました。日本に伝わったのは、戦国時代に加藤清正が朝鮮から持ち帰ったとされます。それゆえ、セロリのことを清正人参ともいいます。セロリには、抗血小板凝集作用があることが明らかにされています。抗血小板凝集作用とは、血管の中で血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぐ働きで、心筋梗塞や脳梗塞などの予防に役立ちます。元東邦大学の山口了三先生らは、いろいろな食品について、抗血小板凝集作用を調べていますが、その中で、セロリはその作用が一番強いもののひとつにあげています。
リンゴ
大腸には100種類、100兆個もの細菌がすみつき、乳酸菌(ビフィズス菌など)と腐敗菌(大腸菌など)が勢力争いをしていますが、このバランスを大きく左右するのが食生活です。腐敗菌のエサは、肉などの食べカスが含まれるタンパク質ですが、乳酸菌は食物繊維などの糖質を好物としているのです。肉をとりすぎれば腸内に腐敗菌がはびこり、食物繊維を豊富にとれば、乳酸菌がふえ腐敗菌が繁殖しにくい環境が作られるのです。とくにリンゴなどの果物に含まれるペクチンという食物繊維は、それ自体が腐敗菌の生育を抑える強力な静菌作用を持っています。富山医科薬科大学教授の田澤賢次先生の実験ですが、ラットを3つのグループに分け、A群には普通のエサを、B群にはオレンジのペクチンを20%含むエサを、C群にはリンゴのペクチンを20%含むエサを与えながら、大腸がんの誘発剤を週1回、計10回にわたって注射しました。発癌剤の注射をはじめて30週後にラットの腸を調べてみると、A群では83%に大腸がんができていたのに対して、B群では55%におさえられました。リンゴのペクチンを食べたC群ではさらに低く、がんの発生が38%におさえられました。これはペクチンの摂取量によって乳酸菌が増えたことの効果です。また、大腸に流れてきた発癌物質は、腸管の粘膜を刺激してがんを誘発すると、一部は吸収されて血液中に入り肝臓へ送られ、グルクロン酸の働きでグルクロン酸抱合体という無害な物質に変えられます。この物質は、胆汁といっしょに十二指腸に排泄され、大腸を通過して便といっしょに排泄されます。ところが腸内に腐敗菌が多いとβ-グルクロニダーゼという酵素を作り無害のグルクロン酸抱合体を再び発癌物質にしてしまい、発がん物質の一部が再び腸管から吸収されて肝臓へいき、循環することになります。先の実験でβ-グルクロニダーゼが便中にどれくらい含まれているか測定したところ、普通のエサを食べたラットにくらべ、リンゴのペクチンを食べたラットの腸内では、β-グルクロニダーゼの活性が10%にまで低下しているのが確認されました。一日に1個のリンゴでがんを防ぎたいものです。
バナナ
昭和30年代までは、高価で貴重な果物だったバナナは、今では手ごろな値段で買えます。バナナは、白血球の働きを高めて免疫力をつけることが実験で証明されました。帝京大学教授山崎正利先生の実験ですが、マウスにバナナ果汁を腹腔内に接種すると顆粒球、マクロファージ(大食細胞)、リンパ球のすべての量が増えたことが確認されました。マクロファージは、サイトカインを作り出しますが、そのサイトカインの中でも重要なTNF(腫瘍壊死因子)は、マクロファージががん細胞を殺す時には必ずあらわれます。どんなものがTNFを多く作るか調べたところ、とくにバナナの効果がすぐれていました。またがん細胞にバナナ果汁を注射したところ、腫瘍が大きくなりにくいことも明らかになりました。人間は体力がないときにバナナを食べていましたが、体験的に知っていたからでしょう。
レモン
「魚や肉を焼いた時、てんぷらや鶏のから揚げなどの揚げ物にできたコゲはがんのもとになる」ということはよく耳にしますが、コゲには体の中に入ると発癌物質を作り出す“フリーラジカル”物質が含まれています。レモンはフリーラジカルをつかまえて安定した物質に変えてしまうのです。フリーラジカルは、殺菌や免疫を高めるなどよい働きをする場合もありますが、細胞膜や細胞内のDNAを傷つけたりと毒性を示す場合もあります。人間の体の中にはそれを抑える物質があるのですが、SOD(スーパー・オキシド・ディスムダーゼ)という酵素はその代表で、からだの中にSODがたくさんあれば、発生したフリーラジカルを消して健康な体を保つことができます。しかし、空気や水、食べ物にもフリーラジカルは存在しています。多くは酸素が関与しているため活性酸素と呼ばれていますがフリーラジカルの一種です。フリーラジカルが多い焼き物などのコゲを食べたり、ストレスや病気で体の機能が低下しても、フリーラジカルは増加してしまい、体内のSODだけでは対応しきれません。したがってレモンなどのフリーラジカルを抑える働きを持つ食品を食べることで補う必要があるのです。
イワシ
イワシの脂に含まれるのが、ドコサヘキサエン酸、すなわちDHAで、頭がよくなる成分として話題になったこともありました。最近の研究では大腸、結腸、肺、肝臓、前立腺、乳腺などの消化器系と生殖器のがん予防と、転移を防ぐこともわかってきました。胃がんにはあまり効かないようです。DHAが胃にとどまる時間が短いことが、理由の一つに考えられます。青背の魚にDHA含有量は多く、また、目の後ろの脂肪に多く含まれているため、丸ごと1尾食べられるイワシは最適な食材といえます。植物性脂肪のリノール酸は、体内に入ると、γ-リノレン酸、アラキドン酸へと変化し、最終的にはプロスタグランディン E 2という発がんプロモーターになってしまいます。アラキドン酸が変化する際にはいくつかの酵素が作用しますが、DHAはこれらの酵素を抑制し、プロスタグランディンE2を作らないように働くのです。リノール酸そのものは体に必要な物質ですが、大豆や米など植物性食品のほとんどに含まれるため、どうしても過剰摂取になりがちです。また肉類には、アラキドン酸が含まれているので、肉を頻繁に食べる人はがんになる危険性が高いといわざるをえません。正常な細胞は50回くらい分裂するとそれ以上分裂せず細胞が自ら死にます。これをアポトーシスといいますががん細胞はアポトーシスを忘れて無限に分裂するのです。しかしDHAにはがん細胞にこのアポトーシスを思い出させる作用があるようだということが、大分医科大学の研究でわかってきました。これはトピックスです。DHAを損失せず100%とれるのは生の刺身、煮たり焼いたりすると80%に落ちます。フライは50から60%DHAを損失します。
コンブ
コンブのヌルヌルには、フコイダンという多糖類が含まれています。コンブには、F と U の2種類のフコイダン分子が存在しますが、そのうちU−フコイダン分子のほうが、がん細胞を自殺に追いやります。宝酒造バイオ研究所所長加藤郁之進先生の実験によると、コンブから抽出したU−フコイダンを1Lあたり1g濃度の液体にし、結腸癌細胞約1万個を入れたシャーレに入れたところ、24時間後にはがん細胞は半減、72時間後にはほぼゼロになったとのことです。骨髄性白血病細胞や、胃がん細胞の実験でも同様の結果がえられたそうです。注目すべきことは、がん細胞が自らのDNA分解酵素によって自殺したことで、正常細胞には、ほとんどなんの影響もみられなかったことです。U-フコイダンはコンブをそのまま食べてこそ効果を期待することができます。
ワカメ
・ワカメには、ヨードが含まれています。名古屋大学第2外科舟橋啓臣先生の実験ですが、ネズミに乳がんをおこし3グループに分けてえさを買えてがんの増殖率をみたものがあります。エサの内容は、@普通のエサだけのもの、2%の粉末ワカメを混ぜたエサ、B5%の粉末ワカメを混ぜたエサというものです。結果は、@のグループのがんが大きくなったのに対し、Bのグループのがんは、ほとんど増殖しませんでした。また、驚くべきことに、Aのグループのがんもほとんど変わらないままだったのです。つまりえさの1%の量のワカメでも、十分な効果があったのです。これは、ヨードには一度できたがん細胞を自殺(これをアポトーシスという)に追いこむ働きがあるからです。しかもワカメを多くとればとるほど、血液中のヨードの量は多くなります。つまり、ワカメのヨードは、血液に吸収されると乳がんの組織までたどりつき、がん細胞を自殺させる効果があるのです。またワカメのヨードには、乳がん予防の効果もあることが、ネズミの実験で確かめられています。
ヨーグルト
日本人にとってはすっかり日常的な食べ物になったヨーグルトですが、じつは有史以前から作られていた世界最古の食べ物のひとつなのです。私たちがふだん口にしているものは、牛乳を乳酸菌で発酵させたものです。人間の腸の中には、、約100種類の腸内細菌が存在しています。この中には、健康維持に役立つ善玉菌と、有害な悪玉菌とがあります。乳酸菌には腸の中の善玉菌を増やして悪玉菌を減らす働きがあります。増えた善玉菌は腸の働きを整え、便秘や下痢を防ぐのはもちろん、腸の中の有害物質の働きを抑制したり、排泄を促したりして、腸のがんができるのを防ぐのです。また、ヨーグルトの乳酸菌には抗変異原性作用があることもわかってきました。細胞のDNAに突然変異を起こさせる物質を「変異原性物質」といいます。変異原性物質は、ときとしてがん細胞をつくります。この変異原性物質の生成や働きを抑える作用を、抗変異原性作用といいます。信州大学農学部細野明義先生の実験ですが、ヨーグルト100gを毎日食後に3回、1週間食べてもらい、その人たちの便中に発癌物質がどれくらい残っているか調べました。すると、7〜8割の人の便中の発癌物質は減少していました。これは発癌物質の変異原性が、ヨーグルトの乳酸菌によって抑えられたことによります。別の実験では、がん細胞を入植したマウスにヨーグルトを与えたところ、普通のえさを与えたマウスより、がん細胞の増殖が抑えられたことが確認されました。その中には、がん細胞が治癒しているケースさえあった、という報告があります。さらに、乳酸菌には体内でがん細胞を攻撃する細胞(キラーT細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞など)を多く作らせて、がん細胞の増殖を抑える効果もあります。
カレー粉
カレー粉に欠かせないターメリック。これはウコンを乾燥させたものです。ターメリックの主成分は、クルクミンという黄色の色素でカレーのルーが黄色いのは、このクルクミンを豊富に含んでいるためです。クルクミンそのものの抗酸化作用はさほど強くありませんが、摂取したクルクミンが腸から吸収される際、粘膜の細胞内の酵素によって、テトラヒドロクルクミンという強力な抗酸化物質に変換されることが明らかになりました。つまりカレーライスを食べれば、クルクミンが腸管粘膜でテトラヒドロクルクミンになり、強力な抗酸化作用を発揮してフリーラジカルによる酸化の害を防いでくれる可能性が大いにあるということです。このようなクルクミンの代謝ルートから見て、まず期待されるのが大腸がんの予防です。大腸がんを引き起こす発癌物質をマウスに与え、3ヵ月後に腸を調べると、がん化しかけた前癌病変があちこちに認められます。
国立がんセンターと名古屋大学の共同実験では、テトラヒドロクルクミンを0.5%含むえさを与えたマウスは、普通のえさを食べたマウスにくらべ、大腸の前癌病変の発生が約30%も抑えられました。クルクミンを0.5%含むえさを与えた場合でも、約13%の抑制が認められ、これはクルクミンの一部が大腸でテトラヒドロクルクミンに代謝され、抗酸化作用を発揮した結果と考えられます。クルクミンの摂取は大腸がんのみならず、他の臓器や組織でもがん予防に役立ってくれる可能性があります。アメリカでの報告によれば、クルクミンの摂取で皮膚がんの発生が抑えられたとしています。カレーライスは今や国民的なメニューのひとつとして親しまれていますが、カレーの具となるニンジンはカロチンを、ジャガイモは熱に強い安定した形でビタミンCを含み、ライスはビタミンEの重要な摂取源です。つまりカレーライスを食べれば、クルクミンのほかにこれら3種類の抗酸化ビタミンを同時に取ることになり、がん予防に相乗効果が期待されるのです。
ゴマ
β-カロチンやビタミンEは細胞膜に存在し、フリーラジカルの攻撃 から細胞を守っていますが、細胞内でも数種類の酵素が働いています。その一種であるグルタチオンペルオキシダーゼの構成成分として欠かせないのが微量元素・セレンです。セレンは、植物ではゴマに豊富に含まれ、10gのゴマで約53μgのセレンをとることができます。また、ゴマにはセサミノールというゴマ特有の抗酸化物質が含まれています。セサミノールはごま油に含まれるだけでなく、ゴマを食べると、腸内細菌の働きで腸管内でセサミノールが生成します。吸収されたセサミノールは血液によって全身の細胞に運ばれ、その抗酸化作用でフリーラジカルの攻撃から細胞を守ってくれます。細胞の中の遺伝子がフリーラジカルによって酸化されると、その傷が修復される過程で8-OHdG(8−ヒドロキシデオキシグアノシン)という物質が尿中に増えます。つまり、8-OHdGは体内で遺伝子がどれだけ酸化され、がん化しかけているかを示す指標といえます。普通の状態でも、細胞内では遺伝子の損傷と修復が繰り返されているため、ラットの尿を調べると8-OHdGが検出されます。しかしセサミノールを与えると、8-OHdG量が減少しました。ラットに四塩化炭素という弱い発癌物質を与えると、その刺激で大量のフリーラジカルが体内に発生するため、8-OHdGの尿中の排泄量が増えます。しかし、これもセサミノールを与えることで抑えられました。ゴマを食べれば、セサミノールが体内で抗酸化作用を発揮して細胞のがん化を防いでくれる可能性をこの実験は示しています。
 
 
みそ
元国立がんセンター研究所疫学部長・平山雄博士の行った調査で、みそ汁を毎日飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて胃がんで死ぬ人が少ないというデータがでています。このような疫学的調査によって、ミソががんの発生を減少させることはすでに明らかになっています。そのひとつが乳がんの実験です。広島大学原爆放射能医学研究所・伊藤明弘先生の実験によると、ラットに発がん物質を与えて人工的に乳がんを作り、それを以下の4つのエサを与えたグループに分け、発がん率にについて比較したものがあります
       A 群:普通のエサ 
       B 群:普通のエサ+ミソ 
       C 群:抗ホルモン剤
       D 群:抗ホルモン剤+ミソ 
 結果は、B群では、A群に比べて発がん率がぐっと下がりました。そしてその値は、抗ホルモン剤を与えたC群に匹敵するほどだったのです。抗ホルモン剤とミソを併用したD群では、その効果はさらに増し、ほぼ完全に乳がんの発生が抑えられたほどでした。ミソに含まれる成分は、どれをとっても体にいいものばかりですが、がん予防に役立っているものは、フラボノイドです。肝臓がんの遺伝子を持つマウスを用いた実験では、普通のエサ、ミソを加えたエサ、フラボノイドを加えたエサの3種類で発がん率を比較しました。その結果、普通のえさを与えたマウスに比べ、ミソやフラボノイドを加えた場合では、発がん率が大幅に抑えられました。別の乳がんの実験で、がんの発生個数を見てみると、普通のエサでは平均4個のがん腫瘍ができたのに対し、ミソを加えたエサでは2個、フラボノイドを加えたエサでは3個のがん腫瘍ができるという結果が得られました。これらの実験結果から、確かにがん予防の主役はフラボノイドであることがわかりますが、もちろんそれだけではありません。たとえばミソに含まれている酵母、乳酸菌などは、体内で合成される発癌物質の除去に役立っているとの報告もあります。つまりフラボノイドを中心に、いくつかの成分が相乗されることで、よりいっそうミソのがん予防効果を高めているようです

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